あなたも知らぬ間に巻き込まれるかも⁉不動産投資の不正融資の理解と対策を深めよう
あなたも知らぬ間に巻き込まれるかも⁉不動産投資の不正融資の理解と対策を深めよう
最近、不動産投資では「かぼちゃの馬車」事件などを筆頭に個人投資家に対しての不正融資が問題となっています。
不正融資をするとどのような問題が起こるのか、また巻き込まれないためにできることを中心に不動産投資の不正融資の現状をお伝えしていきます。
不動産投資の不正融資問題の代表例
まずは、不動産投資の不正融資問題でどのような事例があったのか、代表的なものを2つ紹介していきます。
地銀による書類改ざん問題
不正融資問題の中でも大きく取り上げられたのは、大手地方銀行であるスルガ銀行による融資です。
スルガ銀行は個人の不動産投資家に対して年間4%以上など、相場より高い金利で融資を行っていました。
スルガ銀行は一時期、地方銀行の雄とも呼ばれ大きく売上を伸ばしていましたが、その背景には個人投資家への強引な融資がありました。
例えば収入が少ないことや借金が多いなど、審査が通りにくい個人投資家に対し、現場の営業マンが審査を通過させるために書類の改ざんを行っていたのです。
つまり、本来ならば返済能力がなく、融資審査にも通らない方へも多額の融資を行っていたということです。
融資の審査で確認される源泉徴収票などの書類をしっかりと確認せず、「預金が多い」「収入が多い」など虚偽を記入して融資を通過させていた事実が発覚しました。
フラット35の不正利用問題
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する低金利かつ固定金利の住宅ローンです。
1%台前半という低金利のローンを35年間借り、住宅を購入できるメリットがあります。
フラット35は住宅ローンのため購入対象は住宅に限り、投資用物件の購入に利用することはできません。
しかし、2019年にこのフラット35を不正に利用して投資用物件を販売していたことが問題になりました。
フラット35を提供する住宅金融支援機構は、個人に安価なローンを提供することで国民の住宅購入を促進しています。
フラット35の不正利用は、本来の目的とはかけ離れた用途のために資金が使われてしまうことになるため、問題となりました。
また上記以外にも、融資額が物件の購入必要額に達しなかった場合に、5%を超えるほどの高い金利クレジットローンを利用していたことも判明しました。
ダブルローンを利用することで、属性が優れない投資家にも不動産物件を購入させていたのです。
不動産投資家が気を付けるべき不正融資の種類
ここでは個人不動産投資が注意すべき、不正融資の種類や兆候についてお伝えしていきます。
自己資金・収入の水増し
銀行の通帳や預金残高、源泉徴収票などを改ざんすることによって融資に必要な条件を満たそうとする行為をいいます。
例えば、口座残高を画像加工して桁を多くすることや、源泉徴収票を元とは違う内容に改ざんしてしまうといった事例があります。
自身の知らないところで、各種書類のコピーがされている場合は要注意です。
不動産販売価格の水増し
主に「二重契約」と言われる手法の一つで、不動産業界では「ふかし」と呼ばれています。
金融機関に提出する本来の不動産価格に水増しした金額の契約書を二重に作成します。
結果として、金融機関は諸経費も含めた不動産購入資金の一部を自己資金で充当してもらったという勘違いが生まれます。
本来であればある程度の自己資金を要しますが、審査さえ通ればその分まで全額ローンで賄えてしまうという手法です。
ローン契約の際、見たことがない金額の契約書が出てきたらしっかりと内容を確認するようにしましょう。
家賃収入の水増し
賃貸借契約状況の一覧表を改ざんし、実際より家賃収入額を多く、入居率を高く見せかける手法です。
さらには、入居中と偽るために誰もいない空室にカーテンを付けることがあり、別名「カーテンスキーム」といわれています。
このような場合は、現地に赴いて居住実態の確認をするほかありません。
あからさまに入居率が高い場合や相場賃料よりも高くなっている場合は、提示された資料を疑った方が良いでしょう。
なぜ不動産投資で不正融資が起こるのか
なぜ、不動産投資の不正融資が多く起こってしまっているのか、その主な原因を紹介していきます。
不動産投資が注目を浴び、幅広い層が投資家に
ここ数年で不動産投資が注目を浴びており、さまざまな方が投資しています。
フラット35などの登場により融資候補者の幅が広がり、若年層や低所得者層をターゲットに不正融資が発生するケースもあります。
融資を受ける際に、不動産業者や銀行員が怪しいと感じるときは細心の注意が必要です。
銀行内部の営業目標達成へのプレッシャー
銀行内では営業の目標を設けていることが多く、目標達成のプレッシャーで不正融資が発生してしまうケースが過去にありました。
銀行によっては融資できる企業が限られていることが多く、それにも関わらず融資先を増やさなければならないということがあります。
そのため、不正な手段を使う銀行員が出てしまい、その結果不正融資発生に繋がってしまうことがあるのです。
低金利化による銀行の収益減
低金利化の影響により、銀行の収益が減ることで不正融資が起きてしまうことがあります。
近年、銀行は低金利時代といわれており、融資先からの金利収入が減少したことで収益が悪化したという報道を見かける方も少なくないでしょう。
適切な利益を確保できていれば銀行の収益はそれほど悪化しませんが、競争が過剰になっている現代において、全ての銀行が適切な利益の確保ができているとは限りません。
その収益悪化を改善するために、不正な方法を取る銀行が少なからずあり、結果として不正融資が発生してしまうといえます。
不動産投資で住宅ローンを使用した不正融資が発覚してしまうケース
どのようなことが原因で、不動産投資で住宅ローンを不正に利用したことが発覚してしまうのかを紹介していきます。
郵便物が届かない
住宅ローンで購入した物件は本来自分の居住用であるため、住民票は新しい住所に移すはずです。
しかし住宅ローンを利用して購入した物件を貸し出している場合、そこには他の入居者が住んでいます。
金融機関が住宅ローン利用者あてに何らかの郵送物を送ったとしても、郵便物不着として金融機関に差し戻され調査が入る可能性があるでしょう。
銀行に限らず保険や証券など金融商品全般において、郵便物が不着になると架空契約の可能性が疑われる傾向があります。
実際に、住宅金融支援機構は2019年10月以降に郵便物不着となっている約7700件の物件に対して居住実態がないとして調査を進めています。
銀行の営業マンの急な訪問
住宅ローンを担当している金融機関の営業マンが「近くまで来たので・・・」などと急な訪問をしてくる場合があります。
特に地方銀行や信用金庫・信用組合など、地域密着型で融資を行っている金融機関の場合、このようなケースが考えられるでしょう。
訪問されれば、当然本人以外の人が住んでいるので、住宅ローンを利用して不動産投資を行っていることが発覚してしまうのです。
担当の不動産事業者に対する全件調査
担当の不動産事業者や営業マン自体が、率先して住宅ローンの不正利用を行っているケースがあります。
何らかのきっかけで不正利用が発覚した場合、その事業者が持つ物件について全件調査となり、自身の融資の不正利用が発覚してしまうこともあるでしょう。
不動産投資で不正融資を受けてしまった場合に起こるリスク
知らないうちに、もしくは知識不足で不正融資に関わってしまった場合、投資家側はどのようなリスクを背負ってしまうのでしょうか。
それぞれのパターンで状況がどのようになるのか紹介していきます。
住宅ローンの不正利用は一括返済を求められる可能性も
住宅ローンの不正利用が発覚した時点で、金融機関から一括返済を求められる可能性があります。
住宅ローンの一括返済を求められると、残債分を手元の現金資産で返済しなければなりません。
現金が足りない場合、担保に設定していた物件を売却して返済することになります。
また、売却してもローンの残債を一括返済することが困難である場合、ローンを完済するために他の資産を手放さざるを得ない可能性もあります。
書類改ざんは返済不能を招く
書類改ざんで投資物件を購入した場合、本来ならば不動産投資の融資を受けられなかった与信(金融機関によるローン返済能力の評価)で物件を購入することになります。
与信以上の高額な不動産を買ってしまうと、どのような状況になるのでしょうか。
不動産投資では、空室の発生や突発的な修繕によって費用が家賃収入を上回ってしまうことがあります。
その場合、収入の不足分を自分の給与収入などで補うことになることもあるでしょう。
本来、金融機関の融資審査ではこのような状況を踏まえた審査を行います。
しかし、書類改ざんにより審査を通過した与信が低い方では、突発的な費用の不足分を支払えなくなってしまうケースがあります。
毎月のローンの返済が不可能になれば、物件を手放すことに繋がります。
そして、売却金でローンを完済できない時は、他の資産で補うことになるでしょう。
不動産投資で不正融資を防ぐための対策
個人で不動産投資をする際に、不正融資を防ぐためにできる有効な対策について紹介していきます。
書類改ざんの話には乗らない
不動産会社から提案された書類改ざんの話には絶対に乗らないようにすることが大切です。
過去の書類改ざんの事例として、スルガ銀行はシェアハウス投資を行う不動産会社と提携し、サブリースをセットにして1億円以上の高い金利の融資を行っていました。
しかし、シェアハウス投資を行う不動産会社は倒産しました。
その結果、毎月保証されていた家賃収入が入ってこなくなり、投資家は自分で物件を運営して返済せざるを得ない事態に追い込まれてしまったのです。
不動産会社から書類改ざんの提案を受けたとしても、自分の与信で購入できる投資用物件を購入するようにしましょう。
家賃保証などの話は契約をしっかりと確認する
不動産会社が販売する投資用不動産の中には、家賃保証付きのものがあります。
これらの家賃保証はたとえ運営元の会社が倒産しなくても、家賃収入が減少することがあります。
最初は毎月20万円の家賃を保証されていたものの、2年後の家賃の見直しで15万円までに下落し、更に2年後には毎月の家賃収入が10万円にまで下がるといったケースもありえます。
家賃保証の契約がある場合は、どの程度の頻度で家賃の見直しが行われるのか、契約解除の際の違約金はどの程度の額なのか、しっかり契約内容を確認する必要があります。
投資用の物件を住宅ローンで買えるのは賃貸併用住宅のみ
前提として投資用物件は、住宅ローンで購入することはできません。
住宅ローンで投資用物件を購入できるのは、賃貸併用住宅のみです。
また、賃貸併用住宅でも自分たちが利用する部分の面積は総面積の50%以上でなくてはなりません。
シミュレーションだけを鵜呑みにしない
不動産会社や銀行が行うシミュレートした情報だけを鵜呑みにしてはなりません。
その情報は、家賃収入や入居率が周辺相場よりも高くなっていることがあるため、自身で一度収支予測を立てることが重要です。
また、金融機関で投資用不動産の融資を利用する場合は、変動金利型の融資を受けることとなります。
この場合、収益を得ることができるのかを確認しておくと良いでしょう。
不動産投資のシミュレーションで特に注視すべきなのが物件の利回りです。
実質利回りと表面利回りについて深く理解することで将来的なリスク回避にもなります。
こちらの記事を参考にして、理解を深めましょう。
まとめ
不動産投資において、金融機関と不動産会社が結託して不正融資を促す、あるいは行うということは残念ながらある程度存在しています。
このような不正融資を引き出されないためには、不動産投資対する知識や、金融リテラシーを高めておくことが大事です。
また融資に関しても金融機関や物件、不動産会社ごとに基準は異なるので、投資家同士の人脈を頼って情報交換を行うことも有効な対策になるでしょう。
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